ゴールデン・レトリーバーは、悪性腫瘍（特に大型犬特有のがんとして知られる骨肉腫、組織球肉腫など）を発症しやすい犬種と言われています。20世紀後半以降、悪性リンパ腫や肥満細胞腫などの癌の好発犬種として、また股関節形成不全の多発する犬種として知られていました。骨肉腫は、２歳前後からの発症もあるので注意が必要です。癌は高齢になるとよりかかりやすくなりますので、シニアになったら定期健康診断は欠かさずに行いましょう。

太ももの骨と骨盤を繋ぐ股関節に発育異常が見られる病気です。ゴールデン・レトリーバーは遺伝的に股関節形成不全を発症しやすい犬種です。また生後60日の間に急激に体重が増加することで股関節に負担がかかり、異形成を起こすこともあります。股関節形成不全の症状としては、横座りをするようになった、腰を振るような歩き方をする、うさぎ跳びやスキップのような歩き方をする、運動をしたがらなくなった、などがあります。予防として、滑りやすい床での生活や成長期の過度な運動を避けて、足腰に負担がかからないようカーペットなどを敷いた環境で生活させることが大切です。軽症の場合は安静療法や食事制限で症状が改善することがありますが、進行すると投薬や外科治療が必要となります。

成犬になったゴールデン・レトリーバーは「胃捻転」を起こしやすい傾向にあります。エサを食べて、大きく胃が膨らみ、それが捻れてしまう状態が胃捻転です。 ゴールデン・レトリーバーに限らず大型犬は、胃が拡張して捻転を起こしやすい体の構造をしています。エサを大量に一気に食べたり、水をガブガブと飲みすぎたり、食後すぐに運動をすると胃捻転を引き起こしやすくなります。胃捻転を起こした場合、腹痛を示し、何回も吐きそうな素振りを見せ、ふらふらして呼吸が速くなり、症状が進むと倒れ込んでしまいます。ひどくなると、ガスが充満して血管や他の臓器まで圧迫し、壊死、破裂を引き起こすこともありますから、重篤化する前に病院に連絡を取りましょう。 予防のために、一気食いをさせずに食事は数回に分けて与える、食後や水をガブ飲みしてから2時間は運動をさせないで休ませる、などを心がけましょう。